音楽理論

コード進行のクリシェ

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今回の記事は「クリシェ」です!

叙情的な表現と得意とするクリシェですが、どのような仕組みで成り立っているのでしょうか。

クリシェの仕組みと重要な頻出パターンをチェックしていきましょう!

クリシェとは

「クリシェ」とはコード進行の中で一つの音を隣の音に連続して下降、または上昇させていくものです。

ちなみにポップスでは半音で進行していくものがほとんどですが、よく出る定番パターンが決まっていますので頻出する進行を押さえていきましょう!

クリシェの種類

クリシェには大きく分けて幾つか種類があります。
それをそれぞれ見ていきましょう!

Iメジャーのルート音下降型(メジャークリシェ)

ルート音が半音ずつ下がっていく型です。
通称メジャークリシェといいます。

図1 Iのルート下降型

Iから始まり、Iのルート音が半音ずつ下がりR→M7→m7→M6と下降していきます。
曲キーがCの場合はCの音がC→B→B♭→Aと進んで行きます。

これを基本として派生系としては以下のようなものがあります。

派生型例①

図2 メジャークリシェ派生①

下がっている音をそのままオンコードにしてベース音に持ってきた形です。

派生型例②

図3 メジャークリシェ派生②

ベース音に持ってきつつ、コードを変化させた形です。

派生型例③

図4 メジャークリシェ派生③

3番目のコードが♭VIIM7になっているのが特徴的な進行ですね。
4番目のコードはIVの三度をベース音に持ってきています。

メジャークリシェを使用している楽曲

それではメジャークリシェを使用している楽曲を実際に見ていきましょう。

「思いがかさなるその前に・・・」平井堅

まずは2004年に発売された平井堅さんの「思いがかさなるその前に・・・」です。

出典:平井 堅 YouTube Official Channel

サビの「ねぇ そんな事を隣で君も思ったりするのかな」の部分です。

図5 「思いがかさなるその前に・・・」コード進行

D♭からベース音が半音ずつ下がりD♭→C→B→B♭と下降していきます。
VI7からIIm7にドミナントモーションしています。

「B BLUE」BOØWY

もう一つメジャークリシェを使用している曲は、1986年にリリースされたBOØWYの「B BLUE」です。
Aメロでカノン進行も使用されており、コード進行分析にいい楽曲ですね。

出典:KYOSUKE HIMURO

サビの「OH BABY BLUE 素直になれずに OH BABY BLUE 優しさには照れてばかりで」の部分です。

図6 「B BLUE」コード進行

Aからベース音が半音ずつ下がりA→G#→Gと下降していきます。
ここまではメジャークリシェなのですが、その後も見てみてください。

マイナーコードであるBmから始まり、ベース音がB→A#→A→G#→Aと下降していきます。

これは何なのか、次で説明していきましょう。

マイナーコードのルート音下降型(マイナークリシェ)

図7 マイナーコードのルート下降型

マイナーコードから始まるものは、メジャークリシェに対してマイナークリシェといいます。
メジャーコードから始まるか、マイナコードから始まるかの違いですね。

ルートが半音ずつ下がりR→M7→m7→M6と移動していきます。
特にVImのコードで用いられることが多いですね。
曲キーがCの場合はAの音がA→G#→G→F#と進んで行きます。

今回は例としてVImからの下降型を紹介しましたが、それ以外のIImから下降していくパターンもあります。
マイナーコードからベース音が下がっていくものをマイナークリシェと覚えておきましょう。

これを基本として派生系としては以下のようなものがあります。

派生型例①

図8 マイナークリシェ派生①

下がっている音をそのままオンコードにしてベース音に持ってきた形です。

派生型例②

図9 マイナークリシェ派生②

ベース音に持ってきつつ、コードを変化させた形です。
2番目と4番目のコードはそれぞれIII7とII7の三度の音になっています。
III7からVIm/Vではドミナントモーションをしています。

派生型例③

図10 マイナークリシェ派生③

ディミニッシュやm7♭5を使用しているのでかなり暗く聞こえます。
暗い雰囲気を出したい場合に効果的な進行ですね。

マイナークリシェを使用している楽曲

それではマイナークリシェを使用している楽曲を実際に見ていきましょう。

「B BLUE」BOØWY

図11 「B BLUE」コード進行

さぁここで先程の「B BLUE」の後半を説明していきましょう。
前半はメジャークリシェだと説明しましたが、後半はマイナークリシェになっています

4小節目からB→A#→A→G#と下降していきます。
VImではなくIImから下がっていっていますね。

「糸」中島みゆき

1992年にリリースされた中島みゆきさんの「糸」です。
数多くカバーされ、映画の題材にもなった名曲ですね。

出典:東宝MOVIEチャンネル

サビの「縦の糸はあなた 横の糸は私 織りなす糸は いつか誰かを 暖めうるかもしれない」の部分です。

図12 「糸」コード進行

前半はB♭→A→G→F→E♭→D→Cと下降していきます。

クリシェではありませんがF→F#dimとパッシングディミニッシュを用いてここではベース音が半音進行で上昇しています。

その後、後半がマイナークリシェになっており、G→F#→F→Eと半音ずつ下がっていきます
前半は半音進行ではありませんが、サビ全体を通じてルート音がどんどん下がっていくというとても美しい進行です。
特に#IVm7♭5であるEm7♭5が美しいですね。

間のF→F#→Gと上昇していく部分もスパイスになっています。

「Love Love Love」DREAMS COME TRUE

最後に紹介するのは1995年にリリースされたDREAMS COME TRUEの「Love Love Love」です。

出典:DREAMS COME TRUE

曲の最初の「ねぇどうしてすっごくすごく好きなことただ伝えたいだけなのにルルルルル うまくいえないんだろう」の部分です。

図13 「Love Love Love」コード進行

すごく美しい進行ですね。
さすがドリカムです。

1段目前半はD♭→C→B→B♭と下降していくメジャークリシェです。
VI7からIImにドミナントモーションをし、1段目後半はE♭→D→D♭と下降していくマイナークリシェ。
F7から2段目最初のB♭mにドミナントモーションをし、B♭→A→A♭と下降していくマイナークリシェです。
その後IV→V→Iと解決すると思いきやVImへ向かうのもいい裏切りです。

クリシェ→ドミナントモーション→クリシェ→ドミナントモーションという進行がとても素晴らしいです。

クリシェを多用することにより楽曲の切なさを表現していますね。

まとめ

クリシェを使うとメジャークリシェ、マイナークリシェ問わずにどこな切なく叙情的になるのを感じることができますでしょうか?
これがクリシェが好まれ多用されている要因ですね。
様々なパターンのクリシェを研究してどんどん自身の曲に取り入れていきましょう!

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