コード進行には様々な定番の進行がありますが、その中でも最も有名なのがカノン進行でしょう。
「聞いたことはあるけどいまいちよく分からない」という人も多いと思いますのでカノン進行とは一体何なのか、みていきましょう!
カノン進行とは?
カノン進行のカノンとはそもそも何かというと、ドイツのヨハン・パッヘルベルが作曲したカノン様式の曲で、正式名称は「3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調」といいます。
「パッヘルベルのカノン」と呼ばれ、卒業式などでおなじみの楽曲です。
この曲が有名すぎてカノンといえばこの曲になっちゃってますね。
出典:0Bach0
みなさん一度は聞いたことがあるでしょう。
特にギタリストにはJerry.Cのカノンロックでお馴染みですね。
この曲で使われているコード進行の事が、カノン進行と呼ばれています。
この進行が素晴らしく、現代のポピュラーソングでも多く使われ数多くの曲が大ヒットとなっています。
解説
ではどのようなコード進行なのか見ていきましょう。
図1 カノン進行のディグリー
これが原曲カノンで使用されている進行です。
ちなみに原曲のキーはDメジャーです。
キーDの場合は以下の進行になります。
図2 キーDのカノン進行
カノン進行はコード進行の美しさ自体もありますが、コードのボイシングを変えることにより様々な様式美を見ることが出来ます。
下譜面をご覧ください。
図3 カノン進行のボイシングの変更
この譜面では、最初のIで三度の音をトップノートとしています。
その後、様々なボイシングを使うことによりトップノートは滑らかな下降ラインを描くことができます。
また、下図のような転回することによりベースラインも同様に滑らかな進行を描きます。
図4 カノン進行の転回
このように、カノン進行は単純な進行の美しさだけでなく数学的な様式美も兼ね備えているが故に、何百年経っても愛されるコード進行となっています。
カノン進行が使われている楽曲
カノン進行は、アレンジ加えながら多くの楽曲で使用されています。
実際に使われている楽曲を例に、どのように使用されているか見ていきましょう。
負けないで
コード進行
図5 負けないで – ZARDのカノン進行
コード進行のディグリー
図6 負けないで – ZARDのカノン進行のディグリー
出典:kavana999
1993年にリリースされたZARDの楽曲「負けないで」のサビで使用されています。
今となっては24時間マラソンで毎年歌われていて、応援歌として有名ですね。
カノン進行は進行感がとても強く応援をするような力強い曲に多く使われます。
この楽曲ではサビでカノン進行が使われています。
上記で説明した例と同様に、オンコードを使ってルートモーションを滑らかにし流れるように進行していきます。
また4小節目ではIVの代わりにIIm7が使われていますが、このアレンジもとても多く見られるものです。
8小節目ではIII7のセカンダリードミナントが登場し雰囲気をガラリと変え、半音上であるIVに偽終止で解決しています。
さくら(独唱)
コード進行
図7 さくら(独唱) / 森山直太朗のカノン進行
コード進行のディグリー
図8 さくら(独唱) / 森山直太朗のカノン進行のディグリー
出典:森山直太朗
2003年に発売された森山直太朗の楽曲「さくら」のサビで使用されています。
6小節目でオンコードを用い、7小節目をIIm7にすることによりルートの動きを滑らかにしています。
Emerald Sword
コード進行
図9 Emerald Sword – Rhapsodyのカノン進行
コード進行のディグリー
図10 Emerald Sword – Rhapsodyのカノン進行のディグリー
出典:000chuck000
1998年に発売されたイタリアのヘヴィーメタルバンド、ラプソディーの楽曲「Emerald Sword」のサビで使用されています。
カノン進行はポップスだけでなくメタルにも使われています。
この曲では最後のツーファイブを行わず IV-VのままSD-D進行をしてトニックへ向かっています。
力強く壮大なパワーメタルにとても合っている進行です。
マリーゴールド
コード進行
図11 マリーゴールド – あいみょんのカノン進行
コード進行のディグリー
図12 マリーゴールド – あいみょんのカノン進行のディグリー
2018年に発売されたあいみょんの楽曲「マリーゴールド」のAメロ、サビで使用されています。
上記で紹介してきた楽曲は古い楽曲でしたが、マリーゴールドのように近年でも数多く使われ大ヒットを飛ばしています。
サビの進行ですが、オンコードを使い滑らかなルートモーションをしています。また4小節目ではIII/Vを使わずにVを使っていますね。
6小節目ではIからマイナートニックであるVImに進行しています。
ちなみにこの曲はサビだけでなくAメロでもカノン進行が使われています。
このようにカノン進行は様々なアレンジを加えられながら、バラードからメタルまでジャンルを問わず幅広く使用されています。
他にも
- 愛は勝つ – KAN
- さくらんぼ – 大塚愛
- Dragon Night – SEKAI NO OWARI
- 少年時代 – 井上陽水
- ENDOLESS RAIN – X
- あなたに逢いたくて – 松田聖子
- TSUNAMI – サザンオールスターズ
- 翼をください
など大ヒットした名曲で数多く使われています。
まとめ
このようにカノン進行は様々なジャンルで幅広く使われ、大ヒットを飛ばしています。
今回紹介した曲以外にもカノン進行が使われている楽曲はたくさんあるので探してみてください。
その際にはコード進行だけでなく、アレンジやメロディーの当て方なども一緒に分析できるといいですね。
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