ギタリストには得意分野というものがあります。
ジャズが得意な人、ブルースが得意な人、ヘヴィーメタルが得意な人・・・。
それぞれの分野で名手が存在し独自のサウンドを確立していますが、今回紹介するギタリストはそんなジャンルの垣根を越えた超絶テクニックを誇るガスリー・ゴーヴァン。
「この人出来ない事ないんじゃないの!?」というくらいなんでも出来ます。神。
プロフィール
Guthrie Govan (ガスリー・ゴーヴァン)
生年月日:1971年12月27日
出身:イングランド
バイオグラフィー
3歳の時に父親の勧めがきっかけでガスリーのギター人生が始まりました。最初は父親からコードを教えてもらったり、レコードを耳コピして練習をしていたそうです。
幼少期はジミ・ヘンドリックス、エリック・クラプトンなどから影響を受けており、スティーブ・ヴァイ、イングヴェイ・マルムスティーンなどの影響により速弾きに目覚めました。
その後オクスフォード大学に進学し英語を専攻していましたが、音楽の道を諦められず1年で退学。その後レコード会社にデモを送り契約を得たり、雑誌のコンペで受賞するなど徐々に頭角を現し始めました。
ちなみにコンペで受賞した曲が、ソロアルバムにも収録されている”Wonderful Slippery Thing”です。
当時若干20歳であの曲を作ってしまうとは恐ろしや・・・
90年台後半には音楽学校で教鞭を取りギターを教えていました。
そして2001年、Asiaのアルバム「Aura」にゲストギターとして参加したのをきっかけに世界的に認知を得ました。
リリース:2001年
そして世界に彼の名を轟かせたのが、2006年に発表されたソロアルバム「Erotic Cakes」です。
このアルバムではジャズからHMまで、彼の幅広い音楽性が表現されています。
そして2011年にはブライアン・ベラー(Ba)、マルコ・ミネマン(Dr)と共に Aristocratsを結成し、ソロやバンドでツアーを精力的に行っています。
スタイル
Fives
出典:YouTube
ガスリーの曲の中でもトップを争う名曲Fives。
テーマのかっこよさもさる事ながらこの曲の見所は1:45辺りから始まるアドリブセクションです。
ガスリーのアドリブの特徴は何と言ってもクロマチックアプローチですね。
スケールの中に散りばめられるクロマチックノートが美しいです。
またガスリーは速弾きの際小指をあまり使わないのも特徴的です。速弾きはピッキングよりもレガート主体で、その技術は他のギタリストの群を抜いています。
Wonderful Slippery Thing
出典:YouTube
これぞジャズフュージョンといったガスリーらしい一曲。
上記のFivesもそうですが、ガスリーはインプロセクションがあるのでライブごとに異なる演奏が聴けるのも魅力です。
フレーズセンスのみならずリズムも素晴らしいです。
Remember When
出典:YouTube
初めて聴いたとき震えました。
JamTrackCentral楽曲ではありますが、とても素晴らしいアドリブ曲で、ダイナミクスやアーティキュレーションの表現力が異次元です。
使用機材
ギター
以前はSuhrとエンドースをしていましたが、現在はCharvelと契約しシグネイチャーモデルを出しています。
Suhrからは幾つかモデルを出しましたが、その中でもいかにもSuhr Modernらしい一品をご紹介します。
Suhr
Guthrie Govan Signature – Bengal Burst
出典:Suhr
仕様
Body | Mahogany |
---|---|
Body Top | Flame Maple |
Neck | Mahogany |
Fretboard | Pau Ferro |
Fretboard Radius | 16 inch |
Frets | Jumbo 24 Stainless Steel |
Neck Pickup | Suhr SSV – Zebra |
Center Pickup | Suhr ML |
Bridge Pickup | Suhr SSH+ – Zebra |
Bridge | 510 Gotoh recessed |
Tuners | Sperzel® Locking |
Controls | Volume & Push/Pull Tone Control |
Electronics | Blower Switch |
Accessories | Tremol-no |
一般的なSuhr Modernと大きく異なる仕様ではありませんが、特筆すべきはブロワースウィッチとTremol-noです。
ブロワースウィッチとは
出典:Suhr
Onにすることによりボリューム、トーン、PUセレクターをバイパスしリア直結フルテンになるというもの。実際にボリュームトーンMAXでリアにするのと、ブロワースウィッチをOnにするのとでは微妙にサウンドに変化はあります。
Tremol-noとは
出典:サウンドハウス
トレモロをフローティング/ハードテイルの選択をすることを可能にするもの。これによりプレイスタイルによりフレキシブルな対応ができるギターとなります。最初から付いていなくても自分で付けることが可能です。
またSuhr Modernは基本的にSuhr Locking Tunerですが、ガスリーモデルではSperzel製のロックペグを採用しています。
Charvel
Guthrie Govan Signature Model
出典:Charvel
仕様
Body | Cooked Basswood |
---|---|
Body Top | Bird’s Eye Maple Top |
Neck | Cooked 1-Piece Flame Maple with Graphite Reinforcement |
Fretboard | Maple |
Fretboard Radius | 12″ to 16″ Compound Radius (304.8 mm to 406.4 mm) |
Nut Width | 1.6875″ (42.8 mm) |
Scale Length | 25.5″ (64.8 cm) |
Bridge Pickup | Charvel Custom MFB Humbucking |
Middle Pickup | Charvel Custom MFB Single-Coil |
Neck Pickup | Charvel Custom MFB Humbucking |
Pickup Switching | 5-Position Blade: Position 1. Bridge Pickup, Position 2. Bridge and Middle Pickup, Position 3. Middle Pickup, Position 4. Middle and Neck Pickup, Position 5. Neck Pickup Controls Master Volume, Master Tone |
Controls | Master Volume, Master Tone |
Hardware | Chrome |
Bridge | U.S.-Made Recessed Charvel Locking Tremolo Bridge |
String Nut | BoneTremolo Bridge |
こちらがCharvelとエンドースを組み発売されたガスリーモデル。
Suhrではボディ・トップにフレイム・メイプルを採用していましたが、Charvelではバーズアイ・メイプルが採用されています。
また熱処理を行うことで耐久性を格段に向上させるクックド加工がボディバック、ネックに施されています。
湿度変化に強く、世界中を飛び回るギタリストにはぴったりですね。
ピックアップとブリッジはCharvel製を採用しており、Suhr同様Tremol-noが装備されています。
ちなみにこのモデルのプロトタイプが存在するのですが、そちらはボディ材がコアでできており、状況に応じてガスリー本人は使い分けてるそうです。
アンプ
出典:Victoryamps
以前はSuhrのアンプを使用していましたが、その後はVictoryをメインで使用しています。
Richie Kotzenなども使用しているこのVictoryアンプ、日本の代理店がまだ存在せず入手するには個人で輸入するしかありません。
国内販売が待ち遠しいですね。
エフェクター
出典:YouTube
この動画でガスリー本人が自身のペダルボードの解説をしています。この動画で使用しているエフェクター類を見ていきましょう。
Tc Electronic
PolyTune 2 Mini
出典:サウンドハウス
Tc Electronicから出ているポリフォニック・チューナー。
ストロボモードを搭載しており、精度は驚異の+/-0.1セントとなっています。
Suhr
Koko Boost
出典:サウンドハウス
原音を忠実に持ち上げるCLEAN BOOSTモードと、MID BOOSTモードの切り替えが可能なブースター。
フリーキュエンシーセレクターや、トゥルーバイパス/バッファード切り替え機能も付いており、機能満載のプロユース仕様となっています。
Guyatone
Mighty Micro WRm5 Wah Rocker
出典:Guyatone
Guyatoneのmighty microシリーズのオートワウ。
入力切替が搭載されており、ギター以外の多くの電子楽器に対応しているそうです。
しかし製造元である東京サウンド株式会社が倒産し、2013年1月31日をもって業務終了をしてしまってので現在は製造されておりません。
こちらを入手したい方は中古市場を探してみましょう。
Providence
ADC-4 Anadime Chorus
出典:サウンドハウス
DEEP/MID/LIGHTのコーラスモードが選択できるアナログペダル。
真ん中のMIXツマミにより、DRY/WETの調整ができ、幅広いセッティングが可能となっています。
Xotic
SL Drive
出典:サウンドハウス
Marshall 1959のサウンドをイメージしたというオーバードライブ。
1960~70年代のPlexiサウンドが再現でき、また筐体内に内蔵されているディップスイッチによりサウンドの切り替えができるようになっています。
Tc Electronic
Ditto Looper
出典:サウンドハウス
超小型でワンスイッチという使い勝手の良いトゥルーバイパスのルーパー。
ループタイムは最大5分、UNDO/REDO機能が搭載されており、オーバーダブ回数は無制限となっています。
Tc Electronic
HOF Mini Reverb
出典:サウンドハウス
同社のHall Of Fame Reverbをコンパクトにしたリバーヴ。
TC ELECTRONIC独自の技術、TonePrint機能を使うことによりリバーブの種類をスプリング/ホール/ルーム/プレート/カテドラルから選択できるようになっています。
Tc Electronic
Flashback 2 Delay
出典:サウンドハウス
幻想的なサウンドメイクが可能なSHIMMER効果を取り入れたディレイ。
こちらもTonePrint機能に対応しており、7種類のプリセットと3つのTonePrintスロットを搭載しています。
Jim Dunlop
JC95 Jerry Cantrell Signature Wah
出典:サウンドハウス
ジェリー・カントレルシグネイチャーモデルのワウ。
サイドについているノブにより可変域の調整が可能で、星マークやエイジド加工など特徴的なルックスに仕上がっています。
Jim Dunlop
DVP3 Volume
出典:サウンドハウス
JIM DUNLOPのエクスプレッションコントロールペダル。
踏み込んだ際の増減をスイッチにより調節が可能で、ペダルの踏み心地も変えることができます。
ピック
Red Bear Trading
Guthrie Govan Signature Model
Red Bear Tradingというメーカーからシグネイチャーピックを出しています。
こういうのって本人が使っていないことが多いですが動画を見る限り実際に使用していそうです。
しかしこのピック1枚$35.00、おおよそ4000円します。
高い・・・。
弦
Rotosound
R10 ROTO YELLOWS REGULAR
出典:サウンドハウス
多くのアーティストが使用しているROTOSUND。
ガスリーは0.10-0.46のゲージを使用しています。
アーティスト関連サイト
おわりに
いかがでしたでしょうか!
ガスリーのサウンドは動画をご覧になればお分かりのように、サウンドそのものよりもピッキングやレガートなどプレイスタイルによるものが多くあります。
エフェクター等使用機材を紹介しましたが、機材にとらわれることなく是非ガスリーサウンドを自分の腕で再現できるように頑張りましょう。
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