エフェクターには大きくコンパクトエフェクターとマルチエフェクターがあります。
コンパクトエフェクターは、エフェクトの違いだけでなく、バイパス回路の違いやアナログ回路/デジタル回路の違いなどもあり、このような回路の違いは出音もしっかり反映されます。
コンパクトエフェクターを起動するための電源も大事です。
しっかりとエフェクターが必要としている電源を供給してあげることでエフェクターの本領を発揮してあげることができます。
今回は、コンパクトエフェクターの魅力を紹介します!
マルチエフェクターの魅力については下記記事も参考にしてください。
コンパクトエフェクターとは
出典:BOSS
「コンパクトエフェクター」という呼び方は、実は和製英語で、英語圏ではEffects PedalやStompboxと言います。
ギターを弾き始めて数年は「コンパクトエフェクター」が和製英語だなんて考えもしなかった経験があります。笑
基本的には、1台のコンパクトエフェクターにつき1種類のエフェクトを搭載していて、フットスイッチでエフェクトのOn/Offを切り替えられるようになっています。
出典:BOSS
コンパクトエフェクターの中には、「オーバードライブ/ディストーション」などのように1台で対応できる範囲が広く、2つ分のエフェクトを兼ね備えているものもあります。
2つ分のエフェクトを兼ね備えているエフェクターの多くは、フットスイッチでオーバードライブとディストーションを切り替えるのではなく、あくまで歪みの量がオーバードライブ〜ディストーションまでをカバーしているため、ノブで歪みの量を調整して使用します。
BOSS / OS-2
OS-2は、1台でオーバードライブ〜ディストーションをまでのサウンドをカバーしています。
オーバードライブとディストーションをブレンドすることができ、COLORでブレンド具合を調整することができます。
ハンドメイド
出典:Vivie
マルチエフェクターにはない、コンパクトエフェクターならではの特徴ですよね!
メーカーや個人に関わらず、多くのハンドメイドのコンパクトエフェクターが販売されています。
ブティック系エフェクター
ハンドメイドのコンパクトエフェクターは、ブティック系エフェクターとも呼ばれています。
ブティック系エフェクターとは、一般的に高級なエフェクターのことを指し、ハンドメイドやライン製造に関わらず、ブティック系エフェクターと言います。
SHIGEMORI / RUBY STONE
ハンドメイドのコンパクトエフェクターは、生産数が少量のものが多くありますが、少量しか生産することができない代わりに、ハンドメイドならではのエフェクトが実現されています。
回路や部品へのこだわり、そしてもちろん出音へのこだわりなど、少量生産だからこそ実現できるエフェクトがあるんですよね。
機械技術が進歩しても、やはりハンドメイドでしか実現できない技術がある。ということです。
ハンドメイドのおすすめ
今回、紹介させていただいているものは、数あるハンドメイド製品の中のもんの一部です。
ハンドメイド製品が気になっている方は、ウェブサイトや動画を見るだけでなく、ぜひ楽器店で実際に手に触れ、試奏することをおすすめします。
Vivie / MINERVA
マキノ工房 / RED MYTH-Ⅱ
モディファイ
出典:JHS Pedals
モディファイとは、既製品に別のブランドが一部を改造したコンパクトエフェクターのことを指します。
見た目はBOSSだけど別のメーカーのロゴが貼ってるコンパクトエフェクターを見かけたことはないでしょうか?
そのコンパクトエフェクターがモディファイされたコンパクトエフェクターです!
初めて見たときは、「なんか別のメーカーのロゴあるし、ちょっと高いし、なんだろう・・・」と思いつつも帰宅。
気になっていたので調べてみたらモディファイされたコンパクトエフェクターだったことが分かり、試奏しなかった事を後悔してました。笑
ギターアンプのモディファイ
モディファイは、コンパクトエフェクターだけではなく、ギターアンプにもモディファイされた製品があります。
ギターアンプのモディファイの場合も、コンパクトエフェクターのモディファイと同じく既製品に別のブランドが一部を改造したアンプが販売されています。
ギターアンプの種類の紹介記事を別に書いていますのでそちらもご参考ください。
主な改造の内容は、
- 内部パーツの変更
- スイッチの追加
- 音質の向上
- 機能の追加
などがあります。
モディファイされたコンパクトエフェクターは、モディファイしたブランドの商品として販売され、元となるモデルの良さを生かしつつモディファイされたものや、モディファイメーカー独自のサウンドにしたものもあり、モディファイ後のサウンドの変化はモディファイメーカーごとに特徴があります。
モディファイのおすすめ
JHS Pedals / ProCo RAT2 Pack Rat
WEED / BD-2 Double-SW
バイパス回路の違い
コンパクトエフェクターのバイパスには、トゥルーバイパスとバッファードバイパスの2つがあります。
コンパクトエフェクターを選ぶとき、だいたいエフェクトを基準に選ぶと思いますが、バイパス回路の違いという基準で選んでみるのもおもしろいです!
トゥルーバイパスとバッファードバイパスは、どちらの方が優れているというわけではなく、エフェクトをOn/Offにしたときに、どちらがより自分好みかということが大事になります!
トゥルーバイパス
エフェクトがOffの時に、コンパクトエフェクターの回路が出音に影響がないように、電気信号をそのまま素通り(バイパス)させる回路です。
バッファードバイパスよりも原音への影響が最低限になりますが、ノイズの影響は受けやすくなります。
トゥルーバイパスのコンパクトエフェクター
XOTIC / SP Compressor
FRIEDMAN / BE-OD
バッファードバイパス
トゥルーバイパスの逆で、コンパクトエフェクター自体にバッファーが内蔵されている回路です。
バッファー
バッファーとは、ノイズの影響を受けにくくする仕組みです。
もともとギターの信号はハイインピーダンスというノイズを受けやすい信号で伝送されています。
バッファーを通ることにより、ノイズの影響を受けやすいハイインピーダンスの電気信号を、ノイズの影響を受けにくいローインピーダンスの電気信号に変えています。
インピーダンス
インピーダンスについては、【パッシブピックアップとアクティブピックアップの違い】の紹介記事の
「パッシブピックアップの特徴」で簡単に触れていますので、そちらも参考にしてみてください。
バッファードバイパスの仕組みは、BOSSやIbanesなどのコンパクトエフェクターで採用されています。
バッファーを通過しているため、トゥルーバイパスよりも原音への影響はありますが、ノイズの影響は受けにくくなります。
この原音への影響が、音痩せと感じてしまう場合が多いのですが、音痩せはバッファードバイパスのエフェクターを使用していることが原因で発生するわけではありません!
音痩せ
音痩せが発生する場合の多くは、複数のエフェクターを組み合わせた際やその組み合わせ際のシールドなどにより発生し、トゥルーバイパス/バッファードバイパス自体は関係ありません。
電気信号がエフェクターなどの回路を通る段階で、多くの抵抗を受けるため、この抵抗が原因で音痩せが発生します。
音痩せの良し悪し
音痩せする事自体に良し悪しはありません。
最終的な出音が自分好みであれば、音痩せしていても、していなくても、その出音は自分が好きな音であるということです。
バッファードバイパスのエフェクターを使用した際の出音は、あくまでバッファーを通過した後の出音です。
バッファーを通過した後の出音の特徴は、
- エフェクター使用前と比べると暖かみがなくなるように感じる
- ニュアンスが出にくくなったように感じる
などがあります。
音痩せの出音と似ている部分もありますので、注意しましょう!
バッファードバイパスのコンパクトエフェクター
BOSS / BD-2W
IBANEZ / TS808
アナログ回路とデジタル回路の違い
コンパクトエフェクターの回路には、アナログ回路とデジタル回路の2つがあります。
アナログ回路とデジタル回路は、どちらの方が優れているというわけではなく、エフェクトをOnにしたときに、どちらがより自分好みかということが大事になります!
今回は、空間系コンパクトエフェクターのディレイでアナログ回路とデジタル回路の違いをご紹介します。
ディレイ
ディレイとは「遅延」という意味で、一般的に「やまびこ効果」と言われる効果が得られるエフェクトで、出音を遅らせて鳴らすことができます。
「どのくらい出音を遅らせるか」というのは、DELAY TIMEなどの設定で変更することができ、用途や楽曲のテンポなどに合わせて設定することができます。
ディレイは様々な使い方をした楽曲がありますが、その中から1曲をご紹介します!
Paul Gilbert / The Echo Song
1曲を通してディレイが使用されています。
8分のアルペジオを、ディレイを使用し16分で聴かせるフレーズが特徴です。
出典:Paul Gilbert
アナログディレイ
アナログディレイの特徴は、
- 丸みがある
- 暖かさがある
などがあります。
この出音の丸みと暖かさはアナログ回路の音質劣化によって生まれています。
音質劣化と聞くと「よくないもの!」というイメージが強いと思いますが、アナログディレイの音質劣化は、高音域が減衰しやすい性質があり、この性質により丸みと暖かさが生まれます。
アナログディレイのサウンドは、音質劣化を最大限に活かしたサウンドと言えます。
アナログディレイのサウンドを聴いてみましょう!
MXRのM169 Carbon Copy Analog Delayです。
出典:jimdunlopusa
アナログディレイのおすすめ
MXR / M169 Carbon Copy Analog Delay
MAXON / AD9Pro
デジタルディレイ
デジタルディレイの特徴は、
- 音質劣化がない
- 原音が完全再現される
などがあります。
ディレイディレイは、アナログディレイの特徴である音質劣化がありません。
ギターから入力された音をディレイが録音し、DELAY TIMEなどで設定した間隔で録音したギターの音を再生するといった方法で実現しています。
ディレイで再生された出音は劣化がないため、とてもクリアでフレーズがくっきりと再生されますが、アンサンブルでは音が抜けすぎて浮いているように聞こえるという場合もあるため、注意しましょう!
デジタルディレイのサウンドを聴いてみましょう!
BOSSのDD-500です。
出典:BOSSchannel
デジタルディレイのおすすめ
BOSS / DD-500
テキスト
TC ELECTRONIC / Flashback Mini Delay
真空管搭載モデル
出典:MAXON
真空管が搭載されているエフェクターは、歪み系(オーバードライブ/ディストーション)のエフェクターで多く見られます。
真空管のないエフェクターの歪みは、オペアンプで電気信号を増幅させ、その増幅させた電気信号をダイオードを使い飽和している状態にすることで歪み(オーバードライブ)を発生させます。
一方、真空管は、真空管に強い電圧をかけることで飽和している状態にし、自然な歪み(オーバードライブサウンド)を発生させます。
この自然な歪みをエフェクターでも実現するために、真空管を搭載しています。
真空管については、真空管とソリッドステートの違いの紹介記事を別に書いていますのでそちらもご参考ください。
真空管を搭載したエフェクターに搭載されている真空管は、12AX7などのプリ管が使用され、真空管があることにより、
- ウォーム(暖かく柔らかい)なサウンド
- コシ、粘りがある
- 音圧がある
などの特徴が出音に反映されます。
コンパクトエフェクターで、チューブアンプで作った歪みに近づけることができ、チューブアンプのようにメンテナンスがないため、真空管のサウンドを簡単にエフェクターボードに組み込むことができます。
電源
真空管を搭載したエフェクターは、9Vではなく、12Vや16Vのものがあります。
多くの場合、適切な電力で稼働させないと真価が発揮できませんので、エフェクターが何Vを必要としてるのかをしっかりと確認し、9Vではない場合、付属する専用アダプターを使用しましょう!
真空管搭載モデルのおすすめ
MAXON / TOD9 True Tube Overdrive
IBANEZ / NTS NU TUBESCREAMER
電源
出典:VITAL AUDIO
コンパクトエフェクターの電源は、アダプターと9V電池の2種類があります。
先程も書きましたが、一般的には9Vで稼働するコンパクトエフェクターが多くありますが、真空管を搭載したエフェクターやMXRのM108S TEN BAND EQなど9Vではないエフェクターも多くありますので、注意しましょう!
特にパワーサプライを導入してるギタリストは、パワーサプライにエフェクターに合う電源が供給できるか確認することをおすすめします。
電源のおすすめ
VITAL AUDIO / POWER CARRIER VA-08 MKII
One Control / Distro All In One Pack Shinny Silver
まとめ
コンパクトエフェクターは、価格が安い、高いに関わらずそれぞれに特徴があります。
ただ単に「コンパクトエフェクター=エフェクター」ではなく、もう1歩踏み込んでバイパス回路の違いや、アナログ回路とデジタル回路の違いなど、コンパクトエフェクターの内部回路の違いを知ることで、自分好みの出音を見つける近道になります。
なによりコンパクトエフェクターを選ぶのが楽しくなります!
楽器店に行って色々な種類のコンパクトエフェクターを試奏して自分好みのコンパクトエフェクターに出会いましょう!
お悩み相談コーナーと題し、いただいたギターに関するご質問に回答するコーナーがあります。
小さな悩み、大きな悩みなどに関わらず、気楽にご質問ください。
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