ギターを選ぶ時、ネックの指板材やフレット数などは出音やプレイスタイルに直結するため、しっかりと確認しますよね。
でも、ネックスケールまではあまり気にしたことがない・・・という方は多いのではないでしょうか。
実はネックスケールによっても弾き心地や出音が変化します!
ネックスケールを確認すると、「あ、このギターはGibsonよりかな」とか「独特のネックスケール!」などギターをより楽しめますし、出音や弾きやすさがどのように変わるのかが分かるとギターとの距離がグッと縮まります。
今回は出音、弾きやすさに直結するネックスケールの種類をご紹介します!
ネックスケールとは
出典:Gibson
ネックスケール(弦長)とは、2つの支点間に張られた弦の長さのことをいいます。
2つの支点とはブリッジのコマ(サドル)とナット間のことを指しているため、ネックスケールとは、コマからナット間の長さとなります。
違いによる影響
ネックスケール違いは、演奏面とサウンド面に大きな影響があります。
演奏面
ネックスケールが変わると弦のテンションが変わり、弦のテンションが変わると押弦する際の感覚やチョーキング奏法の力具合が変わります。
弦のテンションが低いと弦が柔らかく感じるため、押弦がしやすくなります。
ネックスケールが長いとテンションが高くなり、ネックスケールが短いとテンションが低くなります。
テンションの違い
レスポール(ミディアムスケール)とストラトキャスター(ロングスケール)に同じゲージ(太さ)の弦を張りレギュラーチューニングにした場合、ネックスケールの長いストラトキャスターの方がテンションが強くなります。
サウンド面
ネックスケールが長くなればなるほど弦のテンションが高くなるため、ハリやテンション感のある硬めの出音になり、逆に短いとハリが弱く、柔らかい出音になります。
このハリの強さは音程の安定性にも影響し、長い方がテンションが高く、弦がよりピンと張るため安定しやすいくなります。
マルチスケール
出典:.strandberg*
サイズ
表1 マルチスケールのサイズ
インチ | 25インチ〜26-3/4インチ |
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ミリ | 635mm〜679.45mm |
表1の小さい数値が1弦のサイズ、大きい数値がもっとも低い弦のサイズです。
特徴
ファンフレットを採用しているネックスケールで、各メーカーにより様々なサイズがあります。
1弦側と6弦(7弦/8弦/9弦)側でネックスケールが異なることからマルチスケールと呼ばれています。
フレットの配置がファン型になっているので、低音弦のネックスケールが段階的に延長されるため、低音弦のテンションが増し、全ての弦のテンションが均一に近くなります。
ファンフレット
ファンフレットであることでマルチスケールになるため、マルチスケールはファンフレットとも呼ばれています。
フレットの種類の紹介記事を別に書いていますのでそちらもご参考ください。
マルチスケールのギター
.strandberg* / BODEN ORIGINAL 7 BLACK
Ormsby Guitars / HYPE GTR7 MS EXOTIC CB
Mayones Guitars & Basses / Duvell Elite VF 7
ロングスケール
サイズ
表2 ロングスケールのサイズ
インチ | 25-1/2インチ |
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ミリ | 647.7mm |
特徴
Fender Guitarsで採用されているスケールで、通称「Fenderスケール」とも呼ばれています。
ミディアムスケールと同様にもっとも一般的なネックスケールです。
Fender Guitarsではストラトキャスター、テレキャスター、ジャズマスターがロングスケールの代表的なギターです。
レギュラースケール
ロングスケールはレギュラースケールとも呼ばれています。
ロングスケールのギター
Fender Guitars / Player Stratocaster HSH
Ernie Ball Music Man / John Petrucci 6
Caparison Guitars / Orbit FX
ミディアムスケール
出典:Gibson
サイズ
表3 ミディアムスケールのサイズ
インチ | 24-3/4インチ |
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ミリ | 628.65mm |
特徴
Gibsonで採用されているスケールで通称「Gibsonスケール」とも呼ばれています。
ロングスケールと同様にもっとも一般的なネックスケールです。
Gibsonではレスポール、フライングV、SGが代表的なギターです。
ミディアムスケールのギター
Gibson / Les Paul Custom
DEAN Guitars / USA ML PATENTS PENDING CLASSIC BLACK
BURNY / MG-380X
ショートスケール
サイズ
表4 ショートスケールのサイズ
インチ | 24インチ |
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ミリ | 609.6mm |
特徴
Fender Guitarsではムスタング、ジャガーが代表的なギターです。
Fender Guitarsのジャズマスターはロングスケールです。
ショートスケールはFernandesのZO-3などのミニギターで多く採用されていますが、ミニギター用というわけではありません。
ロングスケールからおおよそ1フレット分短くなった程の長さで、フレットの間隔が狭く、弦を押さえる感触も柔らかくなります。
ショートスケールのギターにあまり細い弦を張ってしまうとテンションが弱くなり、ビビり等の原因になるため、ショートスケールにはあまり細い弦を張らないほうがよいでしょう。
弦のゲージ(太さ)はレギュラーゲージ(.010~.046)がオススメです。
弦の種類の紹介記事を別に書いていますのでそちらもご参考ください。
ショートスケールのギター
Fender Guitars / AMERICAN PROFESSIONAL JAGUAR
FERNANDES / ZO-3
エクストラロングスケール
サイズ
表5 エクストラロングスケールのサイズ
インチ | 26-1/2インチ |
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ミリ | 673.5mm |
特徴
ロングスケールよりも更に長いネックスケールで、主にダウンチューニングで使用する事を想定しています。
スーパーロングスケール
エクストラロングスケールはスーパーロングスケールとも呼ばれています。
1音下げくらいまでは弦のゲージを太くし、弦高を調整し、トラスロッドを調整すれば、他のネックスケールでも使用することはできるのですが、やはりハリと音程の安定性に欠けてしまいます。
1音下げよりもダウンチューニングする場合、やはりダウンチューニングを想定しているエクストラロングスケールがオススメです。
ダウンチューニング
ダウンチューニングが想定されていないネックスケールにダウンチューニング用のセッティングを行うことは、ギター本体にとってはあまり良い状態とは言えません。
トラスロッドなど、木材に影響がある調整は注意しましょう。
エクストラロングスケールのギター
ZEMAITIS / A24MF EXL
Bacchus Guitars / SURF-27DX
バリトンスケール
サイズ
表6 バリトンスケールのサイズ
インチ | 27インチ〜30インチ |
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ミリ | 685.8mm〜762mm |
特徴
ギターとベースの中間に位置し、各メーカーにより様々なサイズがあります。
エクストラロングスケールよりも更に長いネックスケールで、主にダウンチューニングで使用する事を想定しています。
バリトンギターは、他のネックスケールと違い、基本となるチューニングがありません。
レギュラーチューニングを基準にして
- 1オクターブ下(E,A,D,G,B,E)
- 5度下(A,D,G,C,E,A)
- 4度下(B,E,A,D,F#,B)
などのチューニングで使用します。
使用される弦も上記のようなダウンチューニングに対応するため、太くなり、1弦から「.012〜.054」や太いものは「.017〜.095」などがあります。
バリトンスケールのギター
Paul Reed Smith Guitars / SE 277 Baritone
Squier Electric Guitars / VINTAGE MODIFIED BASS VI
LTD / M-1007 MULTI-SCALE
Paul Reed Smith Guitars
サイズ
表7 Paul Reed Smith Guitarsのサイズ
インチ | 25インチ |
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ミリ | 635mm |
特徴
Paul Reed Smith Guitars(以下、PRS Guitars)はFender Guitars、Gibsonに続き、第3のギターと言われていますが、ネックスケールに関しても、独自のネックスケールを採用し、レスポール(ミディアムスケール)とストラトキャスター(ロングスケール)の中間サイズとなっています。
Paul Reed Smith Guitarsのギター
Paul Reed Smith Guitars / Custom 24
Paul Reed Smith Guitars / CE 24
Paul Reed Smith Guitars / S2 Custom 24
まとめ
いかがでしたでしょうか!
ボルトオン(デタッチャブル)仕様であればネック自体を変えることができるので、ネックスケールを変えることかできますが、スルーネックやセットネックの場合、なかなか変えることができません。
ギター購入前にしっかりと確認しておきましょう!
ネックスケールの特徴を知ることで、ギター本来の持つ個性を引き出してあげやすくなります。
ギター本来の個性を引き出しつつ自分に合ったネックスケールを探してみましょう!
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